Phantom4Pro完全解剖 知っておくべき3つの違い【vs Phantom4スペック比較】
2017/01/31
DJI最新鋭ドローンPhantom4をさらにグレードアップさせたプロ仕様ドローン「Phantom4 Pro」がついに発売された。一見したところ、Phantom4と比較して大きく変化しているように見えないかもしれないが、その中身は恐るべき進化を遂げていた。
どこがどうプロなのか?『PHANTOM4 PRO』がPHANTOM4と比べてどう違うのか機体性能・空撮性能・安全性能の3つの側面から見ていこう。
参考記事:Phantom4は納得して買う!Phantom3とのスペック比較でみる進化の価格
目次
機体性能の違い『送信機がパワーアップ!伝送距離が最大4キロまで広がり、専用ディスプレイ搭載』
PHANTOM4 PRO | PHANTOM4 | |
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|
重量 | 1388g | 1380g |
対角寸法 | 350mm | 350mm |
最大速度 | 72km/h | 72km/h |
最大飛行時間 | 約30分 | 28分 |
最大伝送距離 | 4km | 3.5km |
送信機ディスプレイ | ○ | × |
バッテリー容量 | 5,870mAh | 5,350mAh |
飛行時間が30分の大台突破、最大伝送距離も4キロまで
これまで飛行時間についてはPhantom4が28分、Parrot社のBebop2 Droneが25分と、このサイズのドローンのバッテリー容量はなかなか30分という壁を越えることができずにいた。しかし、とうとうPhantom4Proでは飛行時間30分という大台に到達することができた。
本体重量は+8gと少し増えてはいるが、バッテリー容量・出力アップによりそれを上回る飛行時間を実現させている。PHANTOM4 PROのインテリジェントバッテリーは、バッテリー残量以外にも、残りの飛行可能距離や帰還可能距離といった情報を発信するほか、過充電・過放電に対するケアもなされておりリポバッテリーの運用という面でも安心して使用可能だ。
また最大伝送距離がPHANTOM4の3.5kmから500m広がり、PHANTOM4 PROでは4kmとなった。
標準で送信機にディスプレイが付属
Phantom4Proには送信機に5.5インチ1080p専用ディスプレイが標準で付属するようになった。このディスプレイにはDJI GOも内臓されており、ハード・ソフト両面からPHANTOMを操作するために最適化された送信機として生まれ変わったと言える。
空撮性能の違い『PHANTOM4 Proは空撮のためのカメラとして進化』
Phantom4Proの最大の違いは、ドローンの本質とも言える空撮カメラとしての進歩にある。すでにPhantom4の時点で、性能の高いカメラを搭載していたが、Phantom4Proでは空撮という用途に特化した進化を遂げている。
2000万画素、1インチの高性能センサーにパワーアップ
センサー・レンズ比較 | PHANTOM4 PRO | PHANTOM4 |
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|
センサーサイズ | 1インチ | 1/2.3インチ |
有効画素数 | 2000万画素 | 1240万画素 |
視野角 | 84° | 94° |
35mm換算 | 8.8mm/24mm | 20mm |
F値 | F2.8-F11 | F2.8 |
まず注目したいのが、センサーの進化である。画素数はPhantom4の約1.6倍の「2000万画素」までアップした。この有効画素数というのは、どれだけ画像を細かく鮮明に映し出すことができるかを表している。2000万画素という数値は、デジタルカメラのハイエンド機種と同等レベルと言える。
だが、真に注目すべき点は、センサーサイズにある。Phantom4のセンサーサイズ「1/2.3インチ」に対して、Phantom4Proでは「1インチ」となり、面積でいうと4倍近く大型のセンサーを搭載しているのだ。デジカメに詳しい方はご存知だろうが、画質というものを考えた時、画素数よりも重要視したいのがセンサーサイズであり、Phantom4Proでは正にプロ仕様のセンサーを搭載しているといえる。
ISO感度アップ
ISO | PHANTOM4 PRO | PHANTOM4 |
動画 | 100~3200 (自動) 、100~6400 (手動) | 100 〜 3200 |
写真 | 100~3200 (自動) 、100~12800 (手動) | 100 〜 1600 |
これにより画質という意味で劇的に進歩しており、それはISOレンジの改善にも表れている。ISOとは受光感度を示す指標で、数値が大きいほど、少ない光で撮影ができることを意味する。ISOが高いほど暗い場所での撮影に対応できる、そしてシャッタースピードを上げることができるという利点がある。
一般的に暗い場所で撮影するためにISOを上げるほど画質は悪くなる。ISOの数値は性能が高いほど、数値は倍々で増えていく。Phantom4では動画では3200までだったが、Phantom4Proでは手動で6400、写真においては12800まで対応可能となっている。つまりPhantom4ProはPhantom4に比べ、暗い場所での撮影に強くなっており、つねに動きながらの撮影を強いられる空撮カメラにとって、シャッタースピードの自由度が高いということは大きな意味を持つ。
メカニカルシャッターの搭載
PHANTOM4 PRO | PHANTOM4 | |
メカニカルシャッター | 8~1/2000s | × |
電子シャッター | 8~1/8000s | 8~1/8000s |
スマホやコンパクトデジタルカメラにおいては電子シャッターが使用されており、物理的なシャッターはついていない。これに対してメカニカルシャターというのは、撮影時に物理的にシャッターを動かすものである。コスト増・重量増という欠点がある反面、メカニカルシャッターの利点は、電子シャッターに比べて、歪み(ローリングシャッター)現象を回避することができる点にある。
このような歪み現象は高速で移動する物体を撮影する際には顕著にみられ、ドローンの空撮時にはついて回る問題であるが、Phantom4Proにおいては、物理シャッターの搭載によりこの問題を解消している。
これにより静止画モードでの撮影性能が大きく向上している。例えばバーストショットでは2000万画素で14fps撮影が可能だ。
最大ビットレート100MBPSの撮影が可能に
PHANTOM4 PRO | PHANTOM4 | |
最大ビデオビットレート | 100Mbps | 60Mbps |
動画 | MP4/MOV (AVC/H.264;HEVC/H.265) | MP4 / MOV ( MPEG – 4 AVC / H.264 ) |
対応SDカード | microSD、最大容量:128GB | Micro SD 最大容量:64 GBClass 10 または UHS-1 レーティング必須 |
Phantom4Proの動画モードでは、H.265 4K動画を30fps、H264 4K動画を60fpsで撮影可能である。驚くべき点はともにビットレート100Mbpsということだ。ビットレートとは、静止画でいう画素数のようなもの。動画1秒あたりのデータ量を表しており、この数値が大きいほど高画質な動画と言えるだろう。
Phantom4の60Mbpsに対して、Phantom4Proでは100Mbpsと大きくビデオビットレートが改良されたことで、より高画質な映像を撮影可能となったことに合わせて、対応SDカードも最大容量が128GBまで拡張されている。
安全性能の違い『赤外線センサー追加により安全に撮影に集中できるようになった』
PHANTOM4 PRO | PHANTOM4 | |
ビジョンシステム | 前方・後方・下方 | 前方・下方 |
対応速度(高度2m) | 50km/h以下 | 36km/h以下 |
障害物検知範囲 | 0.7-30m | 0.7-15m |
赤外線検知システム | ○ | × |
Phantom4では機体前方をスキャンして障害物を認識・回避するシステムが搭載されていたが、Phantom4Proでは、さらに機体後部に1つと、赤外線センサーが機体の左右に追加されたことで「5方向障害物検知」が可能となった。これにより障害物の検知範囲がPhantom4の2倍の30mまで広がった。
さらにPhantom4では時速36km以下でしか対応できなかったのだが、時速50km以下まで対応できるようになり、安全を確保した上での自由な空撮範囲が広がっている。
PHANTOM4 PRO 考察レビューまとめ
PHANTOM4のPRO化による一番の恩恵は、センサー/システム周りの改良により、撮影時に安全配慮に割り振っていた意識をシステムで補い、より撮影に専念することができるようになったことだろう。そしてハード面ではセンサー・シャッター・レンズの改良により、より空撮に特化したドローン専用カメラへと仕上がっている。
これまでのドローンカメラは、あくまで「ドローンに高性能カメラが取り付けられている」という印象であり、空撮という独特の撮影方法に対応しきれていない部分が残っていたが、Phantom4 Proではカメラが空撮のために最適化されており、まさにプロ仕様の空撮ドローンと言えるだろう。
ここまでPHANTOM4と比較してPHANTOM4PROの特徴を解説してきたが、やはり魅力を一番簡単に理解するには、実際にPHANTOM4 PROで撮影された映像を見てみることかもしれない。
美しい映像に魅了されるとともに自分でもこのような映像を撮影したいという気持ちが溢れ出てくるはずだ。